第13話_通らぬ氷気(★)

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★年齢制限表現(微・性描写)有 「っあぁっ!」 氷柱を盾にしたものの蔦の大剣の衝撃をまともに受け、蒼矢(アズライト)は大きく弾かれて弧を描き、地へ墜落していく。 握る手が緩み、得物が蔦に巻き取られ[木蔦(ヘデラ)]へ奪われる。 [木蔦(ヘデラ)]は氷柱の刀身を抱えて向きを変え、体躯をしならせて地へ落とす。 投げられた氷柱は、持ち主であるアズライトへ向け、豪速で降下していく。 地へ落ち、上を向くアズライトの視界正面に、[木蔦(ヘデラ)]に投げ落とされた氷柱の剣先が迫る。 「…っ!!」 氷柱(ツララ)は、アズライトの胸を貫く寸前でかき消える。 「…ふん、都合良く出来てるな」 地に腰を落としたまま顔を強張らせ、息を弾ませるアズライトへそう鼻を鳴らすと、[木蔦(ヘデラ)]は体躯の表面をざわつかせる。 その動きに呼応するように、アズライトの真下からおびただしい蔦が地面を突き破って生え出て来る。 氷気の防御をかけ直すことも、氷柱を再び呼び出すことも叶わぬまま、アズライトは蔦に絡め取られていく。 「…くぅっ、あっ…!」 痩身は網の目に縛られ、宙に浮いて磔にされる。 全身を襲う締めつけと、スーツ越しに伝わるおぞましい感触に、アズライトの顔が歪む。 「! んぅっ…」 下腹部から股間へは蔦が交差するように巻きつき、中心の膨らみが程良く圧迫される。 蔦がうごめく度に局部が刺激され、感覚を押し込めようとするアズライトの口端から、堪え切れない呻き声が漏れる。 [木蔦(ヘデラ)]はアズライトの目の高さへ落ち着くと、満足気ににやりと嗤った。 「もう少し手応えがあるかと思ったが、やはり知れていたな。お前の先ほどの口上に騙され、過大評価してしまった」 苦笑気味にそう口ずさむと、[木蔦(ヘデラ)]はアズライトの顎を取る。 「お前の勝機は絶たれた。…どうだ、心を入れ替えて俺に隷属し、その身を一生捧げるというなら、この場から退き、お前を『現実世界()』に還してやってもいいぞ」 声色を和らげつつも厭らしく口角を上げて条件を突きつける仇敵へ、アズライトは変わらず鋭い視線を返した。 「…蛮族に(くだ)るくらいなら、貴様を道連れに『転異空間(この地)』で散る」 敵意剥き出しの藍色の眼から回答を受け取り、[木蔦(ヘデラ)]は顎をぞんざいに手放すと、一足飛びに後退し距離を置く。 「――ではお望み通り、先ほどの口上をそっくりそのままお前に返そう。…いや」 [木蔦(ヘデラ)]は体躯から一際太く長い蔦を生やし、両手に垂らした。 「その身が千切れるまで甚振り、精根尽きるまで嬲り、使い物にならなくしてから、お前を葬ってやる」
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