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次の夜、仕事が入った。
取り立ての仕事だ。郊外にある豪邸と表現するのが妥当な大きな家、この吉川邸が仕事場だ。
この吉川という男の経営する会社が、どうやら都築の会社と敵対する組織との繋がりがあり、その上で都築に近づき、金を騙し取ったというのだ。金というのは、つくづく人を駄目にしてしまうのだと考えてしまう。
「お前は合図があるまで手を出すなよ。情報を聞き出してからだ。」
どこか上から言い放った、指示役として組から来た男がやや気に入らなかったが、都築の為に仕事をすることに変わりはない。ただ、気に入らなかったのは言動だけでは無かった。気に入らない。この若頭を名乗る男が、俺の恩人と同じ目をしていることが、余計に心を掻きむしったのだった。
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