サンサーラ

1/25
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ

サンサーラ

「ないの、生きてる理由が」 いつもと変わらない笑顔から零れ落ちたのは、彼女の本音が詰まった絶望だった。 「また、明日」と2人きりの通学路でお別れをするような軽やかさで彼女は、今、その命を終えようとしていた。 俺たちにとってそれは、何気ない日常の中で繰り返される当たり前の約束と(たが)わずに、確かに再会へ向けた誓いでもあったのだ。 ―――清野明莉(きよの あかり)が死んだ。 翌日、そのセンセーショナルなニュースは学校中に駆け巡る。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!