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サンサーラ
「ないの、生きてる理由が」
いつもと変わらない笑顔から零れ落ちたのは、彼女の本音が詰まった絶望だった。
「また、明日」と2人きりの通学路でお別れをするような軽やかさで彼女は、今、その命を終えようとしていた。
俺たちにとってそれは、何気ない日常の中で繰り返される当たり前の約束と違わずに、確かに再会へ向けた誓いでもあったのだ。
―――清野明莉が死んだ。
翌日、そのセンセーショナルなニュースは学校中に駆け巡る。
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