記憶のアルバム

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さて、とはいったものの何から話せばいいだろうか。 今まで、あの子のことを他人に言いふらしたりはしなかった。 罪悪感と、ほんの少しの後悔と、もっと複雑な何かが心の奥に鍵をかけてしまい込んだから。 名前は出せない。思い出せないのではなく、言いたくない。 既に私の中で彼女の名前も呪縛となってしまっている、というのもある。 同じ学年、同じ年の生まれ、同性とだけ言っておこう。 友人であり、親友であり、憧れであり、憎しみの対象でもあった――と思う。 うん、複雑なのだ。 とにかく、話を進めよう。 私が彼女と出会ったのは、高校からの帰り道。 電車通学だった私達は最寄り駅が一緒だった。 高校に通うまで電車なんて利用したことがなかった私は、窓の外を眺めながら早く最寄り駅に着かないかとケータイをいじりながら過ごしていた。 何駅か過ぎるにつれ、同じ学校の生徒は少なくなっていく。 ふと、顔をあげると向かいの席に座っていた女の子と目が合った。 同じ制服のあどけない顔の女の子。 「あなたも●●高の一年生だよね。どこで降りるの?」 目が合うと彼女は私の隣まで移動して話しかけてくる。 人見知りな私は俯きながら最寄り駅を答えると、彼女は目を輝かせた。 「✕✕駅? 一緒だ!」 最寄り駅が同じだけなのに大袈裟に喜ぶ彼女。 人懐っこい笑顔を浮かべているけれど、知らない人に話しかけられた私は居心地が悪い。 そんな私の心境など知らずに笑顔を向けてくる。
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