記憶のアルバム

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「ねえねえ、友達になって!」 戸惑う私にグイグイと距離を詰めてくる。 彼女に押し負けて頷くと、連絡先を交換しようとケータイのメールアドレスを聞かれた。 「ありがとう! 連絡するね!」 こうして、私達は友達になった。 それから彼女の他の友達も一緒になり、皆で過ごす時間が増えた。 いきなり増えた友達に戸惑いながらも、高校生活は楽しかった。 2年間は平和な日常が過ぎていったが、3年目はそうも行かなかった。 友達が一人もいないクラスで孤立した彼女のメンタルが崩壊し、自傷行為が始まった。 私は止めることができなかった。 彼女が思い悩み、私に相談しようとしていたとき、高熱を出して寝込んでいたからだ。 カッターナイフでのリストカット。 自傷しているということも、別の友人に相談しているのを見て知った。 彼女に対して腹が立ったし、力になれなかった自分自身にも腹立たしかった。 それから私達は疎遠になってしまうのだが、見かねた友人の助けもあり話す機会が設けられた。 暗い笑顔で彼女は私を迎えてくれた。 二人だけの空間に流れる空気は重たい。 「久しぶり」「うん」 かける言葉もぎこちない。 その後の沈黙が更に重い。
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