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「あのね」
先に口を開いたのは彼女の方だった。
「好きなんだ。友達として以上に」
うん?
「同性に告白されても気持ち悪いよね。私が男だった良かったのに」
一瞬、何を言われたのか理解できずに固まっていると、彼女の言葉が続いた。
「本当に、本当に好きなんだよ。あなたの周りの人間、全部消し去って独占したいくらいに」
実際はもっと苛烈な言葉だった。
どれだけ彼女の気持ちが思いのか、それだけは伝わってくる。
「逃げないで聞いてくれてありがとう。拒絶しないでくれてありがとう」
最初から受け入れられると思っていなかったと彼女は無理矢理笑ってみせた。
ふと、表情が消える。
「ねえ、お願いがあるの」
そう告げた彼女の手にはカッターナイフ。
リストカットに使っていたものだった。
カチカチカチ――音を立ててカッターナイフの刃が伸びる。
刃を出したカッターナイフを私の手に握らせ、彼女は虚ろな目で笑った。
「私を、殺して?」
あなたに殺されたい――と、彼女は微笑む。
そこに出会った頃の姿はなく、狂気に囚われていた。
「ごめん、無理だよね」
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