最後の私

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 私の返事を聞かず、娘は一方的に話し続ける。  小学生の孫達は、今の異様さは感じているのかもしれない。  が、孫達にとっては、『ゲームができない』ことの方が、重大らしい。 「ゲームなんか必要ない!」と、娘は言い放っていたが、一ヶ月子どもの面倒を自分で見て、状況を理解していったのかもしれなかった。  でも。  それも、「今さら」だった。  もう、世界は終わる。  だから。  私は、残された時間を、「私」のためだけに使うことに決めていた。  義母は、「夫」の「母親」だった。  孫は、「娘」の「子ども」だった。  私が関わる必要は、本来ないのだ。  それでも関わったのは、「人」としての良心があったからで、強制される言われはなかった。  私は、確かに「母」でも「妻」でもあった。
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