最後の私

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 良い香がするお風呂に入って、風呂上りには、冷えたお酒を飲みながら、つまみを食べて、ダラダラと過ごす。  最高、である。  娘や夫といた時は、絶対に許されなかった。  夫は晩酌しながら眠っていて、娘は徹夜でゲームをしながら、ジュースやポテトチップスを食べているというのに、私がいざそれらをやろうとすると、 「母親のくせに」と言って、止めようとするのだ。  「夫」や「娘」がやったら、何も言われないのに。  どうして、「妻」や「母」は、それをやってはいけないのか。  「小惑星が衝突する」と私が知った時、まず思ったのは、「これで、『母』と『妻』を辞められる」だった。  娘は、もう立派な大人で。  小学生の男の子が二人いる。  正直、私は娘が結婚した後、「これで『母親』という立場から解放される」と、思っていた。
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