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壱
【傀儡】
神力を全て抜き取られ物となった生き人形。
ララは翠達に東の歴史を話す。
「本来、東の跡取りっつーのは正妃の子供が受け継ぐ事になっている」
妾の子が受け継ぐと言う事は絶対に出来ない。
しかし、正妃の子供が病弱又は正妃が子供を産めないとなる場合、東の水神の一族にしか出来ないある儀式を用いて跡取り問題を解決してきた。
病弱の実子の場合は、神力の強い出来れば血の繋がる年の近い子供の魂と融合させ神力を上昇させて強化させた。
子供がいなければ養子をとり、一族の血との交換を行った後に魂の、融合を行う。
この方法は水神の血縁が主体であり、神力が高い者でないと成功率が極めて低い。
しかし、養子の場合はたとえ儀式が成功したとしても正妃が実子を身ごもれば必要のない子供子供として処分される事も珍しいことではなかったという。
いつしかそれが、東の水神の一族の風習となった黒い歴史だ。
「水は養子と正妃の子の融合体だ」
「······ぇ······?」
ある大陸の龍族の良家の第二子を一人、水神の一族が養子に貰った。
神力は申し分ない程の強い子供だった。
正妃の身篭った子供も産まれる前から強い神力を持っていたが、心臓が弱く、産まれても長くは生きられないだろうと言われていた。
養子の子は子供の命を護る為の生贄と言っても過言ではないだろう。
血液を全て交換し、魂を融合するのだ。
養子の人格なんて無くなるのも当然である。
互いの神力も一体化するわけだから相性が悪ければ拒否反応が起きて失敗する事だってある。
元々、違う者同士の神力だ。
愛姫の讓渡と吸収とはわけが違う。
それでも子供の融合は成功した。
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