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 魔王は衣をはだけ、体に描かれた魔法陣を露わにした。  誰に教わったわけでもなく、互いにやり方は分かっている。剣が錆びついていようと、関係ない。胸の魔法陣にただ、突き立ててうずめていくだけ。そうすれば、異界への扉は閉じられ魔王は解放される。  勇者は、ちら、と腰に吊り下げた剣を見やり、深い息を吐いた。 「君が心を痛めることは無い」 「俺が? 馬鹿を言え」 「運命だよ」 「気に入らねぇな。気に入らねぇよ」 「こうなることははじめから決まっていた。けれども、意味を変えられたではないか。それは我々の中にだけあればいい」 「……わかっている」 「この日をずっと待っていた。私は一日たりとも覚えていられなかったけど、いつだって、君を待っていたんだと思う」 「こんな気持ちは初めてだ。これで、あんたが本当に救われるのが分かる。なぜだろう。満足で、とても幸福なんだ」 「それが勇者だ」  
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