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「他に、方法はねぇのかよ。店にあるのは、わかってんだ」
ここまでか。俺の最後の晩餐は、原点で締めくくることはできなかったようだ。
ガックリと肩を落とす俺を見て、店主は考え込むように「ううん」と唸る。
「参考になるかどうかは、わかりませんが……」
不意に、振り子をもう片方の手で止めた。手のひらに乗せた宝石をギュッと握ると、眉間にシワを寄せてカラスみたいな表情でこう言った。
「すごく冷たいですね。そのノートは冷たい場所にあります。まるで、氷のように冷たい」
あの店で、そんな場所は一カ所しか考えられなかった。
※ ※ ※ ※ ※
喫茶ハレルヤに戻ると、ひとりの客がカツカレーを食べていた。俺はお構いなしに、厨房へ飛び込む。
「あら、お帰りなさい」
「ママさん、わかったよ、ノートの場所が」
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