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そうだ。全部俺のせいだった。すべて俺が悪かったんだ。俺の人生をめちゃくちゃにしたのは、誰のせいでもない、俺自身なんだ。
今朝、目覚めてようやくそれを自覚した。だから俺は決心した。こんな男は、もう生きていてはいけない。今日中に俺は死ぬ。俺は俺自身を殺すことを決めたんだ。
その決断に、まったく後悔はなかった。不安も恐れも怒りもなかった。このナポリタンを最後の晩餐として腹に納めたら、俺は家に帰って首をくくるつもりだ。
「そろそろ茹で上がったんじゃない」
ママさんに声をかけられて、我に返る。麺を一本摘まんで、口にした。麺のモチモチ感を味わうためには、少し茹で過ぎくらいの方がいいだろう。もう一分だけ茹でて、感じのいいベンコッティに仕上げた。麺を湯から上げる。
「茹で上がったらスパゲティの粗熱を取って、袋に入れる、ですって」
袋に入れる……どういうことだ。そんなことをして、どうする。麺が冷めてしまうだろ。ママさんは、レシピの続きを読んだ。
「袋のまま冷蔵庫に入れて、ひと晩寝かせてモチモチにする。ああ、だから母さんは麺を前日に仕込んでたんだ。てっきり、早く提供するためだと思ってたわ」
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