契約結婚相談所。

その１。｢貧乏令嬢｣

　契約結婚相談所へようこそ！

　私は、本日担当させていただきますアメリ＝カーストンと申します。

　早速ですが、どのような契約結婚をご希望ですか？

｢祖父の代に飢饉になり、領民から税を徴収しなかったため未だに借金生活。城の修繕費用もなく、使用人に給金も払えない。とにかくお金持ちの人を！｣ですか。

　ふむふむ、なるほど。

　とりあえず、借金を肩代わりしてくれそうな方をリストアップしてみますね。

　えー、５人ほどいらっしゃいますね。

　契約結婚後、お客様はどのような結婚生活をお望みですか？
　出来るだけ、ご要望に添える方をご紹介いたします。

｢全く見向きもされなくてもかまわない。裏庭に畑でも作って暮らすから、使用人と同じでいい。むしろ、放っておいてくれ｣ですか。

　借金のかたに契約結婚されるくせに、なかなか豪気な主張ですね。
　え？　何かお気にさわりましたか？

　んー、でしたら、この方などいかがでしょうか？

　あ、申し訳ありませんが、プライバシー保護の観点から、正式に決まるまではお相手のお名前はお教え出来ない決まりになっていまして。
　はい、ご理解いただけて助かります。

　さる公爵家のご当主なのですが、契約妻を探していらっしゃいます。

　この方、大変な女性嫌いでして。
　形だけの奥様をお求めという事で、当社でのマッチングを希望しておられます。

　え？　ああ、違いますよ。
　実は、この方元婚約者の方とご親友に裏切られたとかで。

　ええ、ええ。
　その辺りはお察しいただけると助かります。

　ですが、独身で裕福で将来有望な方を周囲が放っておいてくれないようで。
　ですので、虫除けとしての契約妻をお求めになっています。

　この方なら、双方のご希望に添えるかと。

　そうですか！　では、お話を進めさせていただきます。
　正式な日取りが決まり次第、ご連絡させていただきますね。

　当社は契約結婚成立後のお二人のご関係には一切の責任を負いませんので、その旨を了承したと書類にサインをお願いいたします。

　はい、ありがとうございます。

　これで、契約成立後は領地改革をなさろうと、溺愛系に移行しようと、全てお客様の自己責任となりますのでご了承ください。

　本日は、ありがとうございました！