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「大丈夫よ。あなただけじゃないわ」
不思議と落ち着く優しい声が、自分に向けられている。
「私の息子もね、電車が好きだったのよ」
そう言ってマダムは立ち上がり、運転席を見ている優に囁いた。
「お母さん、少し疲れているようだから、おばちゃんの隣に座ってもらうわね」
てっきり「嫌!」と、叫び出すと思ったのに、意外にも優は運転席を見たまま、こっくり頷いている。
「隣、座らない?」
マダムが愛美に微笑みかけてくる。
「……ありがとうございます」
ドキドキしながら、愛美はマダムの隣に腰かけた。
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