桜色の電車

気持ちの良い風

「子供のことで迷惑がられたりもするけれど『お子さん可愛いね』とか『お母さん大変だけど頑張ってね』とか、優しい声をかけてくれる人もいるでしょう。私なんかは、ワンオペ育児中に電車の中で見ず知らずの人に話しかけられると、すごく嬉しかったの。よく考えれば、電車の中で他人に話しかけられることって、子供がいないとないことなのよね」
「確かに」
　苦笑しながら愛美は優に目を向ける。

　愛美が一人で電車に乗っても、赤の他人がこんな風に話しかけてくることはまずない。
　でも優と一緒だと、いろんな人が声をかけてくれた。