姉の気持ち・ピアノとの決別

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 もう、真奈美の青春時代も姉の真子と同じように卓球に侵略されてしまうのだ。それも、真子のように強くなることなど、かなうべくもなかった。元々の運動能力が違ったのだから 姉の真子は卓球を始めた小学校の頃こそ体は小さかったが、運動神経は抜群で、クラスで一番小さかったのに運動会では常にリレーの選手に選ばれるほどの俊足だったし、卓球もあっという間に強くなっていった。  真奈美は自分が卓球をすることになってもすべてが真奈美の人生にとって無駄な時間になるのだと思いつめた。  真奈美が泣いている所に、ピアノの味方である母が来た。そもそもは母がピアノを習わせ、音大に行かせたがっていたので、父との話のいきさつを母に話した。  その頃、真奈美はこれまで幼稚園の時から通っていたピアノ教室を卒業させられていた。習っていたピアノの先生はもともと幼稚園の先生で、技術が上がってしまった真奈美にそれ以上教えられないと言うのが理由だった。  真奈美の住む小さな町にはもう一つピアノ教室があったので、真奈美はそこに通わせてもらえるものだとばかり思っていた。
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