15人が本棚に入れています
本棚に追加
カラオケが出るまでは呑み屋で歌いたければ、『流し』と呼ばれるギターやアコーディオンを弾いてくれる人が来るのを待つ。
大抵はおじさんである『流し』が店に直接やってきた時に、お客さんのリクエストに応えてギターやアコーディオンを弾き、お客さんが歌うか、『流し』の人が弾き語りをするかという、音楽の楽しみ方だった。
真奈美の住んでいる所はあまりにも田舎過ぎて『流し』すらこない。
そこで、店にギターを置いてあれば、弾きたい人は自由に弾き語りをしたり、お客さん同士でリクエストしたりして歌っていた。
そのギターで最初の三つのコードを教わったのだった。
真奈美はもともとクラシックピアノをやっていて、将来は音楽の先生になろうと思っていた。
小学校でギターを教わったころにはもう、ピアノはソナチネは終わり、ピアノソナタや、簡単な名曲選を教本にして、ピアノのレッスンを進めていた。
ピアノが弾けるのでギターのコードは簡単に覚えられた。
真奈美が中学校に入る頃には自分でギターの本を買い、その頃まで知らなかったジャンルのフォークギターにはまることとなる。
最初のコメントを投稿しよう!