青春の入り口で

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 その他にギターの弦が結構必要になる。切れるし、錆びるし。それに結構高い。  きっとその先輩もギターの歌本などを買って貰える環境にはなかったのかもしれない。    真奈美の家は母が父の作った小料理屋を経営しいている他に洋品店も主立って経営していたので、決まった月々のお小遣いはその頃の、真奈美のいた田舎の中学生としては少し多めの、月に1000円。それでも少なかったが、書店で買う物には無条件でお金を出してくれた。  でも、町の小さな書店にはギターの歌本は売っていなかった。ギターや弦を扱う店じゃないと手に入らなかった。そこはおもちゃ屋さんも兼ねていたので、そちらの店で買うと言うとお金は出してもらえない。  真奈美は馬鹿正直というか、母がとても怖かったので、本を買う場所の事で噓などつけなかった。狭い町なのだ。書店のおじさんに母が聞いたらすぐにばれてしまう。  仕方がない。お小遣いを溜めるという事を真奈美は初めてした。ある程度お小遣いを貯めたら歌本を買う。  まずはかぐや姫の歌本。そして、主にフォークソング全般のヒット曲が載っている歌本。井上陽水の歌本。
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