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「気持ちよさそうでしたか?私。」
「うん。気持ちよさそうでしたよ。つまらない映画より、気持ちよさそうに寝る人を眺めて耐えるほうがキツイと学べました。」
「どうしてですか?」
「ほら、猫が昼寝してるの眺めてると眠くなるでしょう?それと一緒ですね。小貝さんが寝てるの見てたら眠くなってきた。」
押井部長が欠伸をし、私は
「あ、鉄仮面崩れてますよ。」
と教えてあげた。押井部長がキョトンと私を見つめ
「別に、努めて鉄仮面をしてるわけじゃないのだけれど。」
と教えてくれた。
「そうだったんですか。」
「そうですよ。」
「でもそうですよね。1時間35分ほど前、泣いてましたもんね。」
「それ、忘れてくれませんか?」
「どうして泣いてたんですか?」
「忘れてくれないんですね。」
「気になってしまって。どうして泣いてたんですか?」
「グイグイきますね。」
「はい。押井部長、意外な面が多すぎて興味深々です。」
「俺に恋をすると辛いですよ?」
「恋はしていませんので、ご安心を。」
「なんてことだ。うぬぼれました。」
吹き出すと、部長もクツクツと笑う。
「鉄仮面、また崩れた。」
笑いながら顔を覗き込むと、笑顔の部長が、片手で私に目隠しをした。
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