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「恋するか、試しに教えてください。泣いてた理由。」
「んー?」
部長が笑いながら背もたれに体を預け、スクリーンに視線を戻す。照らされた顔はやはり整っていて、もう少し見ていたいなと思うくらい綺麗だった。
「この映画、本当は1年半前に上映予定だったって知ってる?」
「はい。前売り券買ってたので。」
部長がこちらを見て
「そうだったね。」
と言った。もう鉄仮面でもなんでもなく、優しく微笑んでいた。頷くと、部長がまたスクリーンに視線を戻す。
「買い付けとか、上映館のボイコットとか、大人の事情やら、社会問題が絡んで、延期に延期を重ねているうちに、他の作品にどんどん公開枠取られて。やっと今、上映。」
「そうでしたね。だから、封切の時も大した宣伝してませんでしたもんね。」
部長が頷く。まっすぐにスクリーンを見つめて
「でも上映した。すごいよ。」
と言った。
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