部長の実態3~押井部長編~

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 気が付けば、顔だけ真横を向いて、押井部長をじっくり観察してしまっていた。ふいに部長がこちらを見て目が合い、私はビクリと椅子の上で飛び上がった。 「すみません、見すぎてました。」 謝ると、鉄仮面が鉄仮面のまま 「いえ。良かったら、お隣に移動してもいいですか?」 と訊ねてきた。 「へ!?あ、どうぞ。」 鉄仮面がのそりと立ち上がって、一席、私のほうにずれてくる。 「お邪魔します。」 座ってから、ペコリと頭を下げて言うので、私も 「ようこそ。」 と頭を下げた。 「映画、楽しんでますか?」 スクリーンの方を見たまま聞かれ、 「いえ。正直、もうストーリーは見失いました。」 と答えた。鉄仮面がこちらを向いて 「俺も。」 と言ったので、私はその顔を見つめてしまう。確かに鉄仮面だ。表情は変わらない。でもなぜか、押井部長が微笑んでいるのが、伝わってきた。
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