部長の実態3~押井部長編~

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 しばらく映画を見るけれど、追えていないうえに面白みのないストーリーのせいで、見るというより眺めている状態になり、だんだんと目蓋が重くなってくる。ウトウトしながら部長の方を見ると、部長は相変わらず表情も変えずに、綺麗な二重と長いまつ毛の目でスクリーンを見つめていた。 「どうして泣いてたんですか?」 思わずポツリと訊くと、部長の綺麗な目がこちらを向いた。 「眠いんですか?」 質問に答えずに質問してくる部長に笑ってしまう。 「はい。眠いです。部長は?」 「眠いですが、頑張って見てます。」 「全然そんな風に見えませんね。」 「ああ。どうも俺は鉄仮面らしいので、感情とか状態とかの変化が他人には分かりずらいみたいですよ。」  そう言う部長は柔らかい雰囲気を纏っていて、鉄仮面だけど冷血漢ではないなぁと改めて思った。 「表情は変わらないけど、なんとなく気持ちは伝わってきますよ。部長。」  そう言い残して、私は睡魔に屈した。
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