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聞いたことの無いようなメロディだった。少なくともこの辺りでは聞いたことがない。夢の国のような雰囲気もある。誰かの携帯の着信音だろうか。
しばらくすると、それは鳴り止んだ。
風が頬を撫でた。暖かくて心地いい。
しかし、彼は震えていた。足元を覗き込んでから、一歩後ずさる。
覚悟を決めたと思っていたけど、ただの勘違いだったらしい。
もう1回、小さく呟いてから深呼吸をした。その時、またそのメロディが聞こえてくる。
自分のでは無い、と分かっていても、一応確かめたくなる。しかし、何故かそのメロディは自分の携帯から鳴っていた。
知らない番号からの着信だった。だから無視しようと思った。
だが、もしかしたら先程と同じ番号からかもしれない。とも思った。
だけど、今更誰がかけてこようが、自分にはどうせ関係の無いこと。
だから、無視しよう。気にしなくてもいいんだ―
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