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夢
もしも願い事が一つだけ叶うのならば一体何を願うだろうか。僕ならば郡山美涼に会わせてくれと願う。
郡山美涼は女子高生だ。だが、僕の妄想から生まれた人物であり存在しない。初めて美涼を認識したのはいつかわからないが記憶が正しければ中学二年生の時に夢の中で出会った。夢なので覚えていないだけかもしれないという可能性で考えると実際はもっと前から美涼と出会っていたのかもしれない。
また今夜も眠りにつくのだが、布団の中で考えてしまう。美涼に会えるのかと。そう考えているうちに僕は眠りについた。
「海はどうして青いのでしょうか。果てしなく永遠に続いているようにも見えます。」
華奢な体。黒髪ロングの美少女。間違いない、美涼だ。
「そうだね、海は広いからね。」
小悪魔的な笑顔で美涼が僕の方をみている。
「さぁ、泳ぎましょう。」
僕らは海へ飛び込んだ。冷たい。夏の暑さを忘れてしまうほどに。
舌を少し出して片目を瞑る美涼が目に入った。「しょっぱいです。」
思わず「かわいい」と声が漏れてしまった。
少し顔を赤くした美涼が照れている。「恥ずかしいです。」
「海の水ってこんなにたくさんあるのにどこも同じぐらいしょっぱいのでしょうか?」
「さぁな。でも海の水だけがしょっぱいのは不思議だよな。川や湖なんかは普通の水なのに。それにしても美涼は泳ぐのが上手なんだな。綺麗な平泳ぎだ。」
「いいえ。上手なんかじゃないですよ。平泳ぎだけです。他の泳ぎ方をしたら溺れてしまいます。」
「平泳ぎだけ?」
「えぇ、そうです。何故だか平泳ぎだけは泳げるのにクロールをやろうとすると沈んでしまいます。」
変わっているんだな。クロールができないのに平泳ぎが完璧だなんて不思議な話だ。
どれくらい泳いだだろうか。疲れた。なんだかお腹も空いてきた。
「私、お腹が空きました。焼きそばが食べたいです。」
「僕もだ。じゃあ買いに行こっか。」
「はい!」
僕もお腹が空いていたのでタイミングよく美涼がご飯を切り出してくれて嬉しかった。
「焼きそば二つください。」
「あいよ、二つで七百円ね。」
「美涼、僕が払うよ。」
なんだか申し訳なさそうだ。「なんか、悪いよ。」
「このくらいなら全然大丈夫だから。」
「ならいいけど、」
美涼は押しに弱い。そんなところが少し心配な気もするけれど、そこも可愛いのだ。
「さぁ、食べよう。」
「買ってくれてありがとうございます。いただきます。」
「おいしいです。」美味しそうに食べる美涼が可愛すぎる。いい意味で兵器レベルだ。
「奢ってくれたお礼はいつかちゃんと返しますからね。」
「わかったよ、楽しみにしておくよ。」
目が覚めた。いい夢を見たものだ。でもなんでだろうか美涼の出てくる夢を見ると心なしか寝起きが重いと感じる。疲れているのだろうか。
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