3/4

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「なんか瑠偉って年とるにつれて段々と大人しくなってきたよな。特に小学校の時とかスゲェ問題児みたいな感じだったのに今じゃ誰からも注目されなくなくなってる。」 「別に問題児じゃあないだろ。大人しくなったって、強いて言うなら大人ぽくなっただろ。」 英樹は立ち止まり少し微笑んだ。 「大人っぽくなったって、笑わせんなよぉ。」 「いや、失礼すぎるだろ。」  「あと、注目されたいわけでもないし。」僕は呟いた。 学校から家の距離が短い為あまり多くのことを話すことはできない。家の前に着き「じゃ、また。」と言葉を交わして家の中に入ったのだった。 「ただいま」なんて言っても返事は帰ってこない。親は共働きなので返事がなく当たり前である。親は今日夜遅くに帰ってくるためご飯などは自分でなんとかしなければならないのだが僕ももう高校生だしこんなことも慣れている。何も心配することはない。なるべく自分の自由時間を増やしたい時はカップラーメンにかぎる。簡単なうえ短時間でなにより安上がりだ。食器も使わなくていいから皿洗いも省ける。僕にとっていいことしかないじゃないか。でも毎日こんな生活をしていると親に怒られるのだけれども。 食って風呂に入ったらあとはベットに直行するだけだ。明日から休日なので寝落ちしてしまうまでゲームや動画視聴してしまおう。 最近僕は究極な状態を手に入れた。それは何かというとPadで動画を再生しスマートフォンでゲームをプレイするというものだ。効率が良くていいと思わないか?少なくとも僕はこの状態を気に入っている。 体育の授業もあってか体が疲れているな。体が重たい。ふと今日の帰りに英樹が大人しくなったと僕に言ったことを思い出した。確かに僕は大人しくなったのかもしれない。だってここ最近はいつも何かに怯えて本当の自分を隠してばかりだ。 ほんとなんでだろうな。言いたいこともまともに相手に伝えられなくなって、なんかつまんないや。楽しそうに学校生活を送る英樹や周りの人たちを見ていると羨ましくなってくる。 だめだだめだ。こんなことを考えていてもなんの解決にもなりやしない。自分がただ虚しくなるだけじゃないか。楽しいことを考えよう。気持ちを下げたらだめだ。休日なんだしせっかくの休みを楽しまないと。 ザザーと波の音が響き心に安らぎをもたらす。 波の音が聞こえ少し経った時僕は察した。現実では見たことがない景色。そう夢でよくでてくる海岸。僕は眠ったのだと察したのだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加