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しばらくして食事を終え、わたしは化粧室に立った。
化粧室は、厨房の横の、暗い廊下の突き当り。
で、用を済ませて、手を洗い、ドアを開けたら、津村先生が待っていた。
「わ」
「あのさ、梅谷」
軽く腕を引っ張られ、戸棚の陰に。
壁に背がつく。
そして、わたしの前に立ちはだかる津村先生。
あの、なぜかほぼ壁ドン状態になってるんですけど。
「梅谷」
ち、近いって、顔が。
いや、でも、そばで見るとまつ毛が長くて、さらに麗しい。
こんな美形が、毎日通う学校に潜んでいたなんて。
節穴だった、わたしの目。
でも、みんなも気づいてないから、先生、変装が異常に上手いってことか。
「俺がここで働いてること、誰にも言うなよ」
先生が小声で囁く。
あ、そうか。
他の人に聞かれないように、接近して小声ってことなのね。
でも、至近距離でその麗しい顔ですごまれると、わたしの意思に反して、心臓がドキンと跳ねる。
車に乗ったら速攻でみんなにLINEしようとしてたこと、先生にはとっくにお見通しだったってことですか。
「えー、だって、こんな面白いネタ……黙ってられるかなぁ。ちょっと自信ない」
「おまえたちの情報網は侮れないからな。あっという間に学校中に広がるだろう? そんなことで騒がれたくないんだよ。な、今度、なんかおごってやるから」
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