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それにしても先生の豹変の仕方、驚異的。
俳優になっても充分いけるんじゃないかな。
子供のころ読んだ、『王様の耳はロバの耳』の床屋の気持ちがよくわかる。
だって今、思いっきり叫びたい。
津村先生って、実は〝超イケメンのちょい悪〟なんですよーって。
どっちが〝本当の津村融〟なんだろう。
なんで、あの店で働いているんだろう。
好奇心が泡のようにむくむくと膨れあがる。
やっぱり、先生と直接、話したい。
〝口止め料〟のこともあるし。
わたしは授業終了のチャイムとともに教壇に駆け寄った。
「先生、質問があるんですが」
もちろん、質問なんてない。
でも、生徒が先生に近づく手段といえば、これが一番自然だから。
津村先生はちらっとこっちを見て言った。
「次の授業の準備があるから、放課後でいいですか」
わたしの秘めた目的、ちゃんと伝わったみたい。
「はい。じゃあ、職員室に行けばいいですか?」
「そうしてもらえれば」
「はい、わかりました」
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