2・どっちが本物?

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 頭は先生のことでいっぱいで、六限の物理は上の空(いや、いつものことだけど)で過ごして、ホームルームの後、速攻で職員室に向おうとしたところ、千春に呼び止められた。 「小春、カラオケ行こうや、どうせ暇でしょ?」 「ごめん。ほら、ツム先のとこに質問に行くから」  ツム先とは津村先生のあだ名である。 「そんなに時間かかる?」 「いや、待たされるかもしれないし」 千春が不審げな目でわたしを見る。 「怪しい、なんか隠してる」  ドキッ。  なかなか鋭いんだよね、千春は。 「ないって。ねえ、明日なら行けるよ、カラオケ」  千春はちょっと首を捻りながらも、それ以上の追求はしなかった。 「うーん、じゃ、明日にしてあげる」 「サンキュ」  ごめん、千春。  わたしは心の中で手を合わせた。
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