2・どっちが本物?

7/7
前へ
/85ページ
次へ
 頭のなかで、ダサい先生とイケメン先生を並べてみる。  だめだ。やっぱり、好奇心が抑えられない。  先生がどんな人間なのか、知りたいという欲求で頭がはち切れそう。   〈先生が困るのかと思って。    いいんなら、会って話が聞きたいです〉  また5分ぐらいして、返信があった。   〈次の日曜はどう?〉   〈大丈夫です〉   〈この間の店の前に1時でいい?〉   〈了解です〉   〈おやすみ。ちゃんと寝ろよ。    また授業で寝たら、今度はペナルティの    宿題だすからな〉   〈速攻で寝ます。おやすみなさい〉   〈(笑)〉  やり取りを終え、スマホの電源を落として、ベッドにダイブした。     不思議だ。  これまでの1年と2カ月弱、学校があるときはほぼ毎日顔を合わせていても、津村先生のことなんて、一度だって意識にのぼったこともなかったのに。  それが今は一番気になる人になってしまった。  人間、外見だけじゃ、本当わからない。  いや、先生の場合はきわめて特殊なケースだろうけど。  それより日曜日、どこに連れていってくれるんだろう。  楽しみ……だな……     だんだん意識が遠のいていって、気づいたときには翌朝になっていた。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

489人が本棚に入れています
本棚に追加