3・デート、ではない?

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 あまりのイケメンぶりに、不覚にもくらっとしてしまう。  もし誰かにふたりでいるところを見られたら、と思っていたけれど、その問題は難なくクリアだ。  今の彼を友達が見ても、まず津村先生と気づかれることはないだろう。  逆に、あの人誰、って激しく追及されそうだけど。 「乗って」  彼は運転席から身体をのばして、助手席のドアを開けてくれた。 「では、おじゃまします」  そう言って乗り込んだとき、ドア枠に思い切り頭をぶつけてしまった。 「痛っ」  そんなわたしを見て、先生はぷっと吹き出す。 「ぶつけるか、普通」 「人の不幸を笑うなんてひどい……」 「ああ、ごめん、ごめん」  そう言って、この間の夜みたいに、またポンポンと頭を撫でる。 「よしよし。痛いの飛んでいけ」
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