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「何、金魚みたいに口をぱくぱくしてるんだ?」
信号待ちのとき、無言で葛藤しているわたしに、先生は不思議そうに声をかけた。
で、結局、わたしの不安は単なる妄想に終わった。
車はラブホの前をあっさり素通りして市街地に入り、線路沿いの道を進んでいった。
駅を超えたあたりに駐車場があり、車はそこで停車した。
降りると、なにやら、甲高い鳥の鳴き声や動物の叫ぶ声がする。
「今日の目的地、動物園ってことですか?」
「そう。ここ、来たことない? ライオンバスでけっこう有名なんだけど」
動物園……か。
拍子抜けして腰がくだけそう。
まあ、変態の巣に連れていかれるより、数百倍マシだけど
先生は27歳だから、わたしとちょうど10歳差。
彼にしたら、17歳のわたしなんて、小学生と大差ないってことなのかな。
「あれ、動物は嫌いだった?」
「そんなことないですけど」
「とにかく入ろう、な」
と、先生はチケットを渡してくれた。
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