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「あのとき、梅谷が幸せそうに見えなかったんだよ。で、つい、お節介してしまったんだ。保身だけを考えれば、声かけないほうがいいってわかってはいたけど」
先生の言葉に、ドキっと、心が反応した。
あのときわたしが嫌がっているのを気づいてくれたんだ。
父も母も田坂さんも気づかなかった(あるいは無視してた)のに。
先生は自分が困るかもしれないことを承知で、わたしのことを優先してくれた……
「そういう訳だから、誰にも言わずにいてくれると本当に助かるんだけどね」
わたしは先生の目を見て、頷いた。
「わかりました。言いません」
「ありがとう。あ、それともうひとつのほう」
「テストの点数のこと? やっぱりなしですか。その約束」
「この間は成り行きで言っちゃったけど、失言だった。教師としては、それはやっちゃいけないことだなと思いなおした」
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