4・モヤモヤの正体

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 そう言って、先生は語呂合わせで覚える、イラスト付きの古文単語帳をテーブルの上に出した。 「とにかく単語を覚えなきゃ始まらない。このページまで全部覚えてくるように。来週、テストだ」 「来週までに、これ全部⁉︎」 「あたりまえだろう? 本来ならとっくにマスターしてるべきものだぞ」 「わかりました……やります」  くっ、こんな鬼教師だっけ、ツム先って。 「わざわざ休日の貴重な時間を使ってるんだ。梅谷を古文マスターになるまで鍛えないと気がすまない」 「……わたしは欠点さえ逃れられればいいんですけど」 「じゃあ、ひとりで勉強するか?」  答えはわかってるって顔で見つめられる。 「わかりました。言う通りにします」  ニヤッと笑って頷く先生。  もう、なんかこの人に完全に操られてる気がするんだけど。
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