4・モヤモヤの正体

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***  それから3週間。   毎回の予習と大量の宿題をこなすうちに、このわたしでも古文が少しずつ理解できるようになってきた。  そして分かってきだすと、俄然面白くなってくる。  家での自習も楽しくなった。  他の教科そっちのけで、古文の勉強ばかりした。  わからないことがあれば、先生に即メールで質問できるのもありがたかった。  その甲斐あって、期末では欠点を免れ、それどころか自己最高点で終えることができた。 「最初はどうなるかと思ったけど、よく頑張ったな」  テスト返しのとき、先生はみんなには聞こえないような小声でそっと褒めてくれた。  そんなことをされると、ちょっと顔がにやけてしまう。  席に戻ると、千春にさっと答案を奪われた。 「わたしより点数いいじゃん。なんで急に古文に目覚めたんだよ、小春。あんなにできなかったのに」  
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