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国語が得意で、いつも30点は差をつけていた千春が、謎の物体でも見るかのような目で、その答案を凝視している。
「そ、それは補習したくない一心で、頑張ったんだよ」
千春はそんな言い分、これっぽっちも信じてない顔をして、わたしの目をじっと見た。
「わかった。あの日からだ。小春が謎の行動をとるようになったのは。突然、ツム先のところに質問に行ったときから」
ばくんと、心臓がはねる。
だから鋭いんだってば、千春は。
千春はわたしに顔を寄せ「惚れたの? ツム先に」と囁いた。
「ほ、惚れてなんかないよー」
「その言い方、ますます怪しい」
「なんでわたしがツム先なんかに」
「それがさぁ、最近、陰で人気あるらしいよ。眼鏡外すと美形だとかなんとか言い出したやつがいて」
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