5・会いたくて

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5・会いたくて

 終業式の日になった。  いつもなら、夏休みがはじまるからと、ワクワクするところなのだけど……  今日から1カ月以上も津村先生に会えないかと思うと、嬉しさは半減だ。  ホームルームが終わり、家に帰る前に図書室に寄ろうと、校舎の裏の道を歩いていると「よっ」と後ろから声をかけられた。 「あっ、先生」  心の中で、もうひとりのわたしが歓喜して踊りあがった。  めっちゃ、ラッキーじゃん!  こんなところで先生に会えるなんて! 「梅谷も図書室か?」 「はい。せっかくあんなに古文の勉強したから、夏休みに何かひとつ、古典を読もうかと思って」 先生は嬉しそうに目を細めた。 「いい心掛けだ。一生懸命教えた甲斐があったよ」 「……先生のおかげですね」  そんなふうに手放しで褒められると、ちょっと申し訳ない気持ちになる。
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