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本当は古典が読みたいわけじゃなくて、少しでも先生のそばにいる気分を味わいたいという不純な動機だったから。
でも、それでこうして先生と話すことが出来たわけだし。
もしかして、ワンチャン誘ってくれることもあるかも。
夏休みもヒミツを継続できるチャンスかも知れない。
「ちょうど良かった。先生、わたしでも読める面白い本教えてくれますか」
「ああ、もちろん」
うちの学校の図書室は授業で使う校舎とは別棟にあり、そのせいか、いつもすいている。
今日も、来室者はほんの数人。
みんな自分の興味のある本に気が向いているので、わたしと津村先生が並んで図書室に入っていってもとくに反応する人はいなかった。
先生はわたしを、現代語訳つきの古典全集が並んでいる棚に案内した。
一番奥まった書架だった。
「竹取物語から読んでみればいいんじゃないか。現存する日本最古の物語だ」
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