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竹取物語って……たしか、昔ばなしのかぐや姫のことだよね。
「先生、さすがにわたしでもかぐや姫は知ってますけど。それに中学で暗記したし。『いまは昔、竹取の翁ありけり……』ですよね」
「ああ。みんなそれで読んだ気になっちゃうんだよな。でも、この話はそれだけじゃないから騙されたと思って読んでごらん。これは注釈が詳しいから読み通せると思う」
「はい」
わたしは素直に返事をして、先生からその本を受け取った。
「先生」
「ん?」
「また、わからないことがあったら、メールで質問してもいい……ですか?」
わたしは先生の表情を探ろうと見上げた。
でも逆光で良く見えない。
先生はすぐ、いつもと変わらない調子で答えてくれた。
「ああ、いいよ。すぐに返事できないかもしれないけど」
そう言って、わたしの頭に手を伸ばしかけたけれど、すぐに引っ込めた。
そして、少しばつが悪そうに小声でつぶやいた。
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