第1話 金に困ってる系 商人

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第1話 金に困ってる系 商人

サラサラした長い黒髪を後ろで一本に結った細身の女子高生魔法使い『エマ・ジェンシー』身長は160cm、バストは普通、ウエスト細め、ヒップも普通。 瞳は髪と同じ黒、黒目が大きめ、まぶたは奥二重。 肌は白く、顔は整っており、どことなく気品ある雰囲気を漂わせている。 ちなみに、今日は白ワイシャツ、紺色のキュロットスカートにスーパーから支給された緑のエプロンをかけている。 そんな彼女の隣で無駄に自信に満ち溢れた得意気な顔(ドヤ顔)をしている『潮畑(シオバタ) ショウコ』の髪色は真っ赤なボーイッシュなベリーショートで左側が長めの七三分け。 右耳には、シンプルな丸いピアスをつけている。 身長は175cm、バストは大きく、ウエストは引き締まっており、ヒップも大きめの、所謂ボン!キュッ!ボン!のスタイルで日に焼けた褐色の肌をした二十代半ばの筋肉質な女性。 瞳の色はダークレッド、目はつり上がり気味の二重まぶた、鼻は高く、美人という形容詞がピッタリと当てはまる。 服装は黒いタンクトップにジーンズ、エマと同じく店から支給された緑のエプロンをかけている。 物語は、そんな二人の出会いから始まる。 このスーパーでバイトを初めて、一週間・・・そつなく仕事をこなしていた私はチーフマネージャーから新人パートの教育係を命じられた。 「潮畑さん、このスキャナーでバーコードがある商品は読み込んで、無い商品はモニターのタッチパネルから選んで下さい」 「ショウコで良いよ!私も、エマって呼ぶからさ!」 馴れ馴れしいわね・・・歳上だろうけど苦手だわ、こういう礼儀知らずな人。 ある程度の事を教え、早速レジを開けてお客様を迎え入れる。 「じゃあ、潮畑・・・ショウコさん。お客様に挨拶をして下さい」 「いらっしゃいませー!こんにち、わぁぁぁ!!」 元気が良いのは悪くないが「わぁぁぁ!!」が威嚇みたいなんですけど? お客様もビビって、違うレジに行っちゃったじゃない! 「あの、ショウコさん?あんまりデカイ声だと、お客様が驚いちゃうから、もう少し抑えてね」 「フッ・・・少しばかり、気合い入れ過ぎちまったか」 不敵な笑みを浮かべ目を閉じるショウコを見て、私は心から・・・ウザイと思った。 しかし、これも仕事の一環だ。卒業したら家を出て社会人として自立するんだから、これくらいの仕事をこなせなきゃ話にならない。 「とりあえず・・・もう一度、挨拶を」 「いらっしゃいませー!こんにち、うわぁぁぁぁぁ!!」 目を見開いて「うわぁぁぁぁぁ!!」と絶叫するショウコを見て、私は何となく察した。 一旦、レジを閉めてショウコを見つめて問い質す。 「もしかして、実はビビってる?」 「び、ビビってなんかねぇ~しぃ」 そう言って、顔を背けるショウコに更に詰め寄る。 「スーパーで働くの、初めて?」 「・・・ここで、三回目」 「経験者なの?チーフからは、初めてって聞いたわよ!?」 ショウコは私から視線を逸らしたまま、遠い目をして語りだした。 「そう、私は商人学校を卒業後にスーパーで働いた。そして、1日で客と喧嘩してクビになった。更に、その次のスーパーでも客と喧嘩してクビになった壮絶な過去を背負ったミステリアスガール・・・傷は、今もなお私の心を蝕んでいる」 ガールって歳か?いや、それより何より・・・やば、コイツ!絶対、商人向いて無いじゃん!?しかも、嘘ついて初心者のフリしてクビになってる事を隠して面接受けたのか・・・見かけ倒しの小心者かよ。 「つまり、またお客様とトラブルんじゃないかってビビって拒絶反応を起こしている・・・と、いうことで?」 ショウコは、小さく頷いた。 「あのね。どっちにしろ、その調子じゃクビになるのは避けられないわよ?何の為に仕事しに来てるのよ」 私より身体がデカイのに、しょんぼりしているショウコは、とても小さく見えた。 「ごめん、ちょっと言いすぎたわ」 「そうだよ!傷心に塩塗りたくるような言葉をジャックナイフで切り裂くように浴びせやがって!」 なに、コイツ・・・逆ギレ?腹立たしいけど、ここで喧嘩になったら私までクビになるかも知れないし、抑えよう。 「お客様は敵じゃないでしょ?お買い物に来てるだけなんだから、優しく対応して笑顔で帰ってもらうのが私達の仕事よ。ショウコさんが困ったら私がフォローするから、頑張りましょう!」 「なんか先生みたいな事、言ってんな。でも、確かにエマのいう通りだ・・・頑張るよ」 たかが挨拶で、こんなに手間取らせるとは・・・先が思いやられる。 「いらっしゃいませ~ こんにち、あわわわわわわわ」 さっきよりはマシだけど、めっちゃ泡食ってる・・・とりあえず、今はこれで良しとするか。 お客様も「なんだコイツ」って顔してる中、ショウコは持ってきた商品を目にも止まらぬ早さでスキャンして合計金額を述べた。 あまりのスピードに、私もお客様も驚いていた。 「え?商品13点もあったのに、もう終わったの!?凄いじゃない!」 「見たか、これが本当の実力よ!」 あ、コイツ・・・誉めるとすぐ図に乗るタイプだわ。
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