第29話 最終戦降臨する 魔王

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スーパージャジーン・・・魔王の骸から抽出したエネルギーを使って生み出された人造邪神の最高傑作。 黒光りする逞しいボディはあらゆる物理攻撃を弾き返すフェジカルリフレクションモード! そして、スーパージャジーンにはもう一つの姿がある。 それは白く輝くしなやかな身体となり、あらゆる魔法を跳ね返すマジックリフレクションモード! モードチェンジは瞬時に切り替えが可能で、イーサはテレパシー魔法でスーパージャジーンを自由自在に操作している。 オウル様ぁんに魔法攻撃をさせたら最後、跳ね返された所に間髪いれず私の神霊魔法を放ってゲームは終わり・・・ヘイビィ、貴様は最初から最後まで私の手の上で踊る滑稽な道化に過ぎないのよ。 イーサは心底、今まで協力関係であったヘイビィを見下していた。 自分の意に叶わなかったからではなく、最初からそうだった。 志も無い愉快犯、神話に登場するロキのようなトリックスター気取りの立ち振舞い、元の世界がどれ程汚れていたか知っているにも関わらず、下らない事に労力を費やす・・・全てが気にくわない。 今さら、オウル様ぁん達に協力した事を心底後悔させてやるわ。 で全滅したかつての勇者達の無惨な姿を見て絶望に打ち(ひし)がれるが良い! ヘイビィはオウルのテレパシー魔法でショウコ達に作戦を伝達し、反撃に出る。 イーサの予測通り、ヘイビィは亜空間魔法で対峙する相手を入れ替た。 イーサの前にはラカが、スーパージャジーンの前にはオウルを配置する。 本当に愚か者ね・・・私がオウル様ぁんに拘っているように見せたのもフェイク。 別に勝てばのよ。 どこぞの少年漫画みたいにみたいなノリはのよ、この戦いは私達の未来を大きく左右するターニングポイント。 オウル様ぁんが、どんな魔法を撃つか知らないけどスーパージャジーンは神霊魔法さえも跳ね返す。 ラカさんの神竜の装備も魔法には滅法強い・・・が、物理側面を持つ大地の魔法やさっきのオウル様ぁんのように暴風魔法で瓦礫を雨霰の如く浴びせれば対処はできる。 そう思いながらイーサがラカに対して魔法を放とうとする一方、既にオウルは右手で杖を矢のように引き、左手には電気を帯びたような光の弓を構えていた。 バチバチと音を立てる光の弓、黒木の杖によって増幅された魔力が矢を形成! 「雷の神霊魔法・・・弩雷閃(どらいせん)!!」 雷の神霊魔法・・・魔法戦の時に五眼邪を倒した風の神霊魔法、風雷獄以外にも神霊魔法を使えるなんて、流石はオウル様ぁん。 でも、私のように神霊魔法を連射はできないですよね? 跳ね返された神霊魔法を魔法で相殺するのは不可能。 ラカさんなら盾になれたかも知れませが、こちらを向いているのでそれは無理。 あのデタラメなショウコさんが庇ったとしても、雷撃の神霊魔法を受けたらタダでは済まない。 何より、神霊魔法で失った魔力はアイテムでは回復しないので運良く助かったとしても戦線離脱は免れないでしょう。 さようなら、憧れの大魔道士様。 オウルが光の矢を放った瞬間、スーパージャジーンの姿が瞬時に一変し、逞しい黒い男性型ボディから女性的なしなやかな白く輝くボディとなった。 マジックリフレクションモードを発動させたスーパージャジーンの胸に光の矢・・・に見せかけた黒木の杖がポスっと当たって床に落ちる。 「は?」 思わず、すっとんきょうな声をあげたイーサの眼前からラカの姿が消え、亜空間魔法で入れ替わったオウルが弓を構えて現れた! 「弩雷閃(どらいせん)(本物)!!」 「だ、大地の女神、出でよ!!」 イーサは咄嗟に雷の神霊魔法を大地の神霊魔法でガードする。 完全に権限出来なかった大地の女神は顔だけで現れ「あぁぁぁいぃぃぃぃ!!」と奇声を発しながら雷の矢を受け止めた。 それとほぼ同時に亜空間に身を潜めていたショウコが飛び出し、スーパージャジーンに斬りかかる! スーパージャジーンは当然、瞬時にフェジカルリフレクションモードに切り替える・・・が! ショウコの大剣が紫電一閃、スーパージャジーンを胸元から真横に一刀両断!! 「スゲェな、本当に斬れたわ」 更にヘイビィが楕円形状の盾を複数出現させ、両断されたスーパージャジーンの傷口をドリルのように回転しながら掘り進み核を破壊。 「一丁あがりだ。畳み掛けるぞ!」 ヘイビィの号令と共にオウルの神霊魔法を防いだイーサにラカが斬りかかる! 「何が起きたか知らないが、舐めるなぁ!」 先刻、オウルがやったようにイーサは瓦礫を暴風魔法で操りラカの接近を防ぐ。 「なんの、これしき!」 それでも瓦礫の嵐の中を強引に突破しようと前進するラカにイーサはオウルの神霊魔法を受けて既に形を成していない大地の女神の残骸をディフォーメーションさせ巨大な槍を突き刺す! 「ぐっ!?」 槍の一撃を受けたラカを飛び越え、今度はショウコがイーサに攻撃を仕掛ける! 「そんなにトラウマ再体験(フラッシュバック)したいなら、お手伝いしてあげますよショウコさん!」 「黙れ、ペテン女!逆に毎晩うなされる素敵な悪夢(トラウマ)を脳内にバッチリ植えつけてやんよぉ!」 は、まだ力を使いこなせていなかった。 更に魔王の骸から抽出したエネルギーにより、私の魔力は以前より更にアップしている。 たかが、新しい武具を身に纏ったくらいで・・・この実力差は埋まらない! 「力の差を思い知らせてやる。朽ち果てろ、水神龍!!」 目を赤く光らせ、歯が尖る。 ショウコは竜の力を二段階解放した。 「思い知るのは、テメェの方だ!」 振り下ろした大剣が水神龍を斬り裂く! 「何度やっても同じ事だと知るが良い。燃え尽きよ、戯け者!」 それと同時に間髪入れず炎の神霊魔法 不死鳥をショウコに放つ! 「悪事のツケは、しっかり払ってもらうぞぉぉぉ!!」 髪に隠れていた二本の角がバキバキと音を立てて伸び、ショウコはとうとう竜の力を最終段階まで解放した! 「どりゃあぁぁぁぁぁぁ!!」 大剣を振るい、ショウコは不死鳥を斬り裂く! しかし、不死鳥は瞬時に元の姿に戻り再びショウコに襲いかかる! 「水神龍みたいに斬れないのか!?」 「不死鳥の名は伊達じゃないのよ!敵を燃やし尽くすまで、何度でも甦るわ!」 竜の力を使えるようになったおかげで、前回みたいに水神龍を斬った後に力尽きたりはしなかったが・・・これは、不味い! ベールマントによる対炎防御も不死鳥の前では一瞬で消されてしまう。 万事休すか? そう思った時、ヘイビィの魔法で回復したラカが不死鳥の前に立ち塞がる! 「神霊魔法は受けた事は無いが、受け止める!」 魔法に対して圧倒的な強さを誇る神竜の武具だったが、消える事無く燃え続ける不死鳥の炎に飲み込まれたラカは苦悶の表情で叫ぶ。 「ぐおぉぉぉぉ!!ショウコ、いけぇぇぇ!」 ラカが不死鳥を受け止めてくれている隙にショウコはイーサの頭部に輝くサークレットを狙って翔る! 「私が使える強力な魔法が大地、水、炎、三つの神霊魔法だけだと思っていたなら、見当違いでしたね!闇魔法 終焉(ディマイズ)!!」 空間に浮き上がった魔方陣から、黒いエネルギー波が放たれた。 「伏せて、ショウコちゃん!」 ショウコの背後でオウルが再び弩雷閃(どらいせん)を放ち、相殺した。 「な、何故・・・単なる人間の魔法使いが神霊魔法を連発できる!?」 狼狽えながら、オウルを見たイーサは小指から血が流れ落ちている事に気づく。 魔法戦でエマがやった、魔力を溜め込んだ爪を飲み込んで魔力を取り戻した方法で神霊魔法を撃ったのか!? そう悟った瞬間、既にショウコがイーサのサークレットに大剣を振り下ろす!! キン、という音と共にサークレットは真っ二つに斬れ、床に落ちると共にイーサの姿が元に戻り、二つに分かれた虹色の宝石から光が溢れる。 光が消えると、そこには床に横たわっているエマとリリィの姿があった。
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