第30話 伝えたい思いを 君に

4/9
前へ
/175ページ
次へ
ラカの事は初めて会った時から、気にくわなかった。 ショウコより全然弱く、何の変哲も無い人間族が目を輝かせながら「私達で世界を救おう!」とか身の丈に合わない目標を冒険者ギルドのど真ん中で声を大にして言った。 当然、歴戦の冒険者達から笑い者にされて赤っ恥をかかされた。 「こういうノンデリさんとはご一緒したく無いです」 「ラカとか言ったか。ボクのパートナーがお断りだと言っている諦めてくれ」 その日は姿を消したけど、ラカは私達を諦めなかった。 あまりにもしつこいので、ある日ショウコが「見合う実力か見極めさせろ」と模擬戦を提案した。 勿論、ショウコの圧勝・・・だが、それでもラカは諦めずにショウコに挑み続けた。 クエストを終えた帰り道、ショウコに尋ねた。 「いつまで、あのノンデリの相手を続けるんですか?ショウコ様には、あのような汎用量産凡庸平民と関わって欲しくありません。品位が下がります」 「姫様らしい考え方だな、ヘイビィ。ボクは、ああいう努力型も嫌いじゃない。それに戦う度に腕を上げている」 それを聞いて、明確にラカの事が嫌いになった。 でも、邪神崇拝者達の手により大量発生した魔物から町を守る際に偶然ラカ、オウルと共闘する事になってしまい・・・不本意ながらパーティーを組む事になってしまった。 「ヘイビィ、ショウコだって食事くらい自分で出来るだろう」 「口出ししないで下さいます?」 試しに一人で食べさせたら、めっちゃ溢してたっけ・・・ショウコ。 誕生日、酔っ払ったショウコを姫抱っこしたラカにブチ切れた。 「バカラカぁ!!ショウコ様に汚い手で触るな!!」 「ちょっと~ 落ち着いてよ、ヘイビィちゃん~」 「ヘイビィに任せたら、何をするか分からん。ショウコは私が部屋まで連れて行く」 「ナニをドウしようと、勝手だろうがぁぁぁ!くたばれ、ラカぁ!!」 惨敗して、またラカの事が嫌いになった。 目的地に向かう途中、困ってる人を放っておけずに余計なトラブルに首を突っ込んだり、巻き込まれる度に嫌いになった。 ショウコの方が強く、活躍しても何故かラカは行く先々の村や町で気がついたら民達の人気者になっていて嫌いになった。 努力が実り、ショウコと良い勝負ができるくらい力をつけて・・・二人が仲良くなっていくのを見て、また嫌いになった。 ショウコの方が優れているのに神竜にはラカが選ばれて、また嫌いになった。 大邪神と戦った時、リザレクションをかけていると知らずに本気で死んだと思って「謝りたい事があったのに」ってガチ泣きしてたのを見た時は本当に身の毛がよだった。 パーティー解散後、入手が難しいと言われるダンガリウム鉱石を思い出としてショウコと二人で取りに行った。 そして、帰国して王女となった。 各国の秘密裏にしている内情や様々を事を知り、ラカとオウルも偽りの平和の元で飼い慣らされていると思うと・・・胸がモヤモヤした。 ライティ・・・妹には悪いと思ったが、性に合わなかった。 根っからの冒険者になってしまって、すまない・・・毒をもって毒を制する旅に出た。 厳しい精霊の戒律にがんじがらめにされていた二人・・・月音とレナは何故か他人に思えなかった。 二人を解き放つ為、色々やったな・・・蜘蛛猫はサメネコとして再スタートを切ったが、元の頂きに辿り着くにはまだまだ時間がかかるだろう。 そういえば、ショローンはえらくラカを気に入っていたな。 まぁ、戦う相手が強くなければ燃えないのは元となってるショウコの性分だろう。 おかしいな・・・今際の際だと言うのに、殆どがラカの事ばかりだ。 そうか、それくらい大嫌いだったという事か。 言葉になるか分からんが、言っておこう。 ラカ、お前の事が誰よりも・・・大っ嫌いだ。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加