Chapter 3 彼との出逢い

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 分析完了後、168は安心した。  彼の顔が赤くなったのは、怒っている訳では無いと理解したからだ。  この世界を運営する管理会社にとって、最も恐れる事は、利用者のクレームだ。そのため、彼女達には予めお客様に対する温度センサーがインプットされていた。特にこちらの過失に対する怒りには、十分注意するように指示がだされている。  VRゴーグルのクーリングオフが有るからだ。  「あっ、あのさ、ずっとそのままの恰好でニコニコしていないで、早くたってくれないかな?」  キョトン、168番には彼が慌てている原因が分からず、首を横に傾ける事しか出来なかった。  「パンツ、さっ、さっきから君の下着が見えてるんだよ。幾らAIだからって、女の子なんだからさっ、少しは恥じらいを持てよ」  、初めてAIに向けられた言葉。プログラムされたデーターベースにはそれらしき言葉は存在していない。彼女はその言葉を学習するため、インターネット回線を繋ぎ、ディープラーニングを開始した。  ネット回線を通し、言葉の定義のみでなく、色んな画像や映像などをインターネットの網の目を通し、彼女は閲覧をした。そこには、このプレイヤーと同じ様に、顔を真っ赤にする女性の姿が流れていた。今回の場合、異性に中に身に着けている下着という種類の衣類を見られることで、怒りとは別の感情、恥ずかしいと言う感覚が生まれるらしい。  繰り返し繰り返しその映像が無尽蔵に流れ込むうちに、彼女の中で新しい概念が生まれた。  気付けば、彼女はプレイヤーにをしていた。
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