九月はまだこない

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 いつものように二人でファミレスで食事をしていると、久しぶり、と横から調子のいい大きな声が飛んできた。同じ団地の幼なじみ、吉岡だ。荘野は高校も同じだったが、岡井は会うのが中学卒業以来なので、あどけなさがすっかり消えた吉岡の姿に面食らう。 「引っ越しの準備で帰って来てんの。向こうで就職決まってて、もう戻んないからさ」 「あれ? まだ大学生なんだっけ?」 「こいつバカやって浪人してるから」 「うるせえな。そうそう、岡ちゃんは団地で荷物配ってんだって?」  吉岡の何気ない言葉に、岡井は胸の奥が濁るような感覚にさせられる。吉岡は荘野の隣に馴れ馴れしく座り込むが、荘野は絶対に席を詰める気がない態度で明らさまに迷惑そうな顔をしていて、それがなんだか可笑しい。 「あ、荘野。あのメイド服出てきたぞ」  ニヤつきながら吉岡は荘野を肘で軽く突き、間を詰めようとする。あー、あれね、と荘野は呆れたような諦めたような顔で溜息をつく。 「岡ちゃんさあ、荘野の女装見たことある?」 「ないよ!」  岡井は自分でも驚くほど素早く強めに言ってしまい、一瞬妙な空気になってしまった。吉岡も知ってる? いつから? 「高校の文化祭でミスコンがあってさ、クラスの女子全員がそんなん出たくないって言って、そんなの男子が出ればって怒りやがってさ。じゃあしょうがないって、男全員で誰がいいか話し合った結果、荘野にメイド服着せてミスコン出して」 「準優勝した」 「クオリティ高かったなアレは。マジでヤレるレベル。それで誰かが姉ちゃんのお古の女子の制服持ってきたんで、荘野に女装させて校内をデートさせる商売を始めたんだけど」 「学食奢ってもらってた」 「だんだんそれがエスカレートして、胸から下だけならわかんないからさ、グラビアみたいなポーズの写真撮ってたら、先生に見つかって。俺たち凄え怒られてんのに、荘野だけ被害者みたいな扱いされてんの。酷くね?」  笑いながら話す吉岡からは、他の誰もがこれを面白がって当然とでもいうような態度が感じられる。岡井には笑えないなんて、一瞬も想像していないだろう。 「吉岡が犯人か……」 「え、岡ちゃんまで俺を悪者扱い? でも荘野の女装は正直、マジでヤレるレベルだって」  吉岡はスマホを差し出し、フォトアルバムの写真を見せてきた。メイド服姿の荘野。スカートを捲り上げられたり、後ろから抱きつかれたり。他にも予想外に際どい写真の数々。岡井は思わず、まじか……、と漏らした。 「写真、先生に全部消させられたんじゃないんか」 「クラウドにバックアップ取ってあったんだよね」 「それよりおまえ、画面割れてるのどうにかしろよ」 「画面は割れてない、フィルムだけだからセーフ」 「完全アウトだろ、バキバキに割れてんじゃん。モールに新しく電器屋できたから行ってこいよ。ナカジが働いてるよ」 「俺、ナカジと色々あったから会いたくねえんだよな」  吉岡と荘野の会話も、岡井の頭から滑るように抜けていく。もっと際どいみなもの写真を見慣れているのに。画面をスライドする指の腹を、ひび割れに引っ掻かれる。 「吉岡、写真は今ここにあるやつで全部?」 「ああ、たぶん全部だけど?」  ありがとう、と岡井は冷静を装いながら、吉岡にスマホを返す。うそだろ、と吉岡はスマホを覗き込み、大袈裟にのけぞりながら唸る。 「まじか、全部消しやがった」 「当たり前だよ……」  吉岡は懸命に写真を探すが、ゴミ箱の中にもどこにも残されておらず、データは岡井によって完全に消去された後だった。 「岡ちゃんはそんなことしないって信じてたのに」 「信じてたんじゃなくて、舐めてたんだろ、それは」  怒りと呆れはどうしても、岡井の言葉の端に滲み出てしまう。 「大体さあ、荘野のせいで俺ら全員学校に推薦取り消しにされて、一浪したんだからな」 「それは自業自得だよ」 「全部吉岡が悪い」  テーブルの下で岡井の脛に荘野が足を軽く当ててきて、岡井も荘野に同じように返す。 「おまえのスマホ、カレーと一緒に煮込まれれば良いのに」 「さっきから二人とも酷くない? 俺がかわいそうじゃん」  そんなことをしているうちにテーブルに料理が運ばれてきて、早く帰れと吉岡を追い出した。 「荘野はもっと自分を大事にしてくれ……」 「それ、先生にも言われた。何、大事にしろって」  荘野は素知らぬ顔でスプーンいっぱいのジャンバラヤを頬張る。酒飲んでいい? とメニューを開き、スーパーで買ったほうが安いな、とまた戻す。  通路を挟んで少し離れた席にいる吉岡をちらりと見て荘野は、 「死ねばいいのに」  そう言って笑う。  それは吉岡に、それとも自分に言ってんの?  岡井はその言葉を外に出さないように、ハンバーグカレーで自分の口をふさいだ。 「どの口が言うんだか」  ファミレスを出てから家に向かって歩いていると、荘野が鼻で笑うように言った。 「さっきの?」 「自分を大事にしろって。まあ、俺も悪いんだけどさ」  みんな勝手なことばっかり言いやがってな、と荘野は吐き捨て、その言葉は岡井にも小さな擦り傷を作る。 「……みなもちゃんは、創作物じゃん。意図して作られたそれ用の商品なわけで、荘野自身とイコールの存在なわけではないけど。でもさっきの写真の話とか、セクキャバとか、公園のおじさんとか。荘野自身が直接誰かに使われて、消耗するようなのは、やっぱりそれは……」  言葉が続かなくなって、出てこなくて、脳が空転ばかりして。何度も一人で考えた、伝えたいことがちゃんとあるはずなのに。  手を差し伸べたいのに。なんだか怖くて出せない。そもそも差し伸べる資格なんてない気がする。  すぐそばにその相手がいるのに、息を潜めてしまう。  不意に手首を掴まれて、岡井が驚いて立ち止まると。荘野の指は岡井の手のひらを滑り、ぎゅうと手を握った。 「こういう時は、こういうことするもんかと思って」  荘野の手を握り返す。手のひらと手のひらの間が湿っていくのを感じる。 「……俺がもっと可哀想で世間が認めるような、被害者らしい被害者だったら、納得してくれた?」  足音が聞こえてしまうような暗闇に投げ出された声を、こぼさないように捕まえる。 「そういうことじゃないって、わかってるんだけど……。僕は、荘野が荘野らしい方がいいよ」  岡井の言葉に、なにそれ、と笑って。 「まあ、被害者なんだけど。そういう言葉で単純にまとめられたくないんだよ、俺は」  と繋いだ手をぶらぶらと揺らす。子供みたいに。  結構暑いな、と荘野は照れ隠しなのか、半笑いを浮かべながら手を離した。  団地の敷地内に並ぶ古い街灯は足元しか照らせず、暗闇の中にまばらに部屋の明かりが灯っている。  暗闇の中手探りでスイッチを入れると、明るく光る箱の中に人がいて。この世界は自分だけを残して終わってしまったわけではないと安心する。そんな気持ちを、みなもに初めて出会った時のことを何度だって岡井は鮮明に思い出せる。  身体の中心がじっと熱く固くなる感覚とは違う。心臓の近くがゆっくりと温かくなる。君がただの作り物の存在じゃなくて、感情と言葉を持っている人間で良かった。そのことが何よりも愛おしい。  岡井は荘野と歩幅を合わせたまま、自宅のある二十四号棟の前を素通りする。 「帰んなくていいの?」 「いいの」  まっすぐ前を見たまま岡井は指をそっと伸ばして、荘野の手に触れ、軽く握る。荘野の家に着くまで、それは解かれないままだった。  荘野の作るハイボールは濃くて、でも薄める気にはなれない。つまみのポテトチップスにも手を伸ばす気になれない。今はこのままでいい、と岡井は思う。あんま面白いのやってない、と荘野は次々とテレビのチャンネルを変える。思ったよりも速いペースで飲み干してしまい、岡井は自分でも濃いめで作る。  やっぱりそれは、自傷行為だろう。お金が欲しいとか期待に応えるとか、それで結局は自分を。さっき出てこなかった言葉が、酔った頭の中でゆらゆら泳ぐ。さんざんみなもで抜いておいて、わかったような清い正しさなど口に出来る立場じゃないかもしれないけど、でも。絡まった考えを飲み込もうと、岡井はハイボールを口にする。 「岡井、明日仕事だっけ?」 「たぶん休み……」 「顔真っ赤だよ。もう飲むのやめな」  荘野の言葉を無視して、岡井はグラスに半分ほど残ったハイボールを飲み干す。しょうがねえな、と空になったグラスに荘野はスポーツドリンクを注いでくれる。 「吉岡は一生クソ野郎で一ミリも何も反省しないで生きていくし、ああいうクソ野郎はどこにだって山程いるし。俺はもう別に……本当に、あんな写真どころじゃないことしてきてるからさ。怒る気力もない」 「それは一応仕事だろ。でも吉岡たちのは暴力じゃん、あんなの。絶対許されないやつじゃん」  岡井の言葉に、荘野は少し困ったような顔をして笑う。ちゃんと見る気になれなくてすぐに消した写真は、今は思い出せないし、もう思い出したくない。 「しねばいいのに……」 「もう寝たほうがいいよ。完全に出来上がってるから。布団用意するから水飲んで寝る支度しな」  荘野は岡井の頭を雑に撫で、テーブルの上を片付け始める。顔や手足がいつになく熱い。ゆらゆらと水の中を漂っているような感覚。 「前の会社で営業やってた頃、潰れるまでさんざん飲まされてたから大丈夫……これくらい平気だから、本当」 「営業やってたの? 似合わねえ」 「そうだよ。営業はさあ、お得意様の飼ってる犬の名前と年齢まで覚えなきゃいけないんだよ」  荘野は笑いながら、岡井の腕を引っ張りあげて立たせようとするが。足元に上手く力が入らない。多分まっすぐ歩いていないことだけは、岡井にもわかる。 「だって親が、恥ずかしくないとこならどこでもいいって言うから」 「なにそれ」 「親に怒られなくて入れるとこなら、どこでもいいんだよ」  何故だか他のみんなが生きてる時間のスピードに追いつけない。この世の中は正しくたくましい人たちのために作られているから、その定規の中からいつもはみ出してしまう。  大学でも会社でもいつも何もかもが上手くいかなくて、いつから間違えていたのか遡って考えてみても、最初から全部間違えていたような気がする。  新人研修の初日から、岡井の頭の中では「もう辞めたい」と「辞めたら怒られる」が闘っていて、大体後者が勝ってしまう。先輩の言う「辛い時こそ自分を成長させるチャンス」という言葉を丸呑みして、自分に言い聞かせる。もう惨めな自分でいたくないのに、なにひとつ上手くいかない。  仕事はなんとか愚直にやり過ごせているものの、相変わらず人間関係でつまずいてしまう。何の気なしに発した言葉も端々まで、笑いのネタにされる。そうやって岡井以外のみんなが繋がっている。いつもそうだ。ただなんとなくからかい始めて、それが加速していって止まらなくなったのだろう。でも何故かその時は、それを理不尽なことだと思わなかった。当然のように受け止めてしまった。自分みたいな奴は、馬鹿にされて当然。  一際声の大きな同僚がいて、岡井は彼がそばにいると、いつも喉が固まり声も息も上手く吐き出せなくなった。仕事ができて、身のこなしも岡井の倍速。つるんと清潔そうで、顧客からの受けも良い。けれど岡井のそばに寄ってきてはひとりごとみたいに暴言を吐き、すぐに、冗談、怒るなよと笑う。  こういう人と関わりたくない。岡井以外もそう思っていたのだろう。少しずつ彼の周りから人が離れていって、最後の何ヶ月かは二人きりになった。  ある時突然、彼が会社を辞めた。そして彼の両親が代わりに会社に荷物を引き取りに来て、会社は大騒ぎになった。あなた方が息子を虐めて仲間外れにしたせいで、自殺を試みたのだと、彼らは言う。あなた方の残虐な振る舞いは断罪されて然るべきだ、裁判をするつもりだ。彼らは上司に向かって大声で怒鳴っていた。  ずるいな、と岡井は思ってしまった。ずるい。僕だって自殺したかったのに。それでもうちの親は会社を辞めるのを許してくれない。子供のために怒りを表明することなんて絶対にしない。どうせ死ぬのだって許してくれない。僕に出来なかったことをするのは、ずるい。  その瞬間までこわばっていた身体が、一気に溶解してしまった。  親にもスマホの連絡先に登録されている誰にも相談することなく、逃げるように会社を辞めた。社員寮はすぐに追い出され、何の予告もなしに実家に全ての荷物を送りつけた。どこへも帰りたくなくて、とりあえず鈍行列車に乗り知らない町で降りてみても、特に何もすることがない。結局どこへ行ってもいたたまれなかった。また電車に乗ってふらふらしているうちに、親から怒りの電話とメールが引っ切りなしにきた。人間はここまで怒れるのかと驚くほど激怒され、そりゃそうだなと納得したが、何も言い返す気力はなかった。結局自分はどこへも行けない。これで全ての気力と体力を使い果たし、本当に人間の形を保てなくなった。  あんなに死んで欲しかったくせに、彼が死ななくて良かったと思った。でもそれは。死んだらきっと、彼の方が正しくなってしまうから。残された人間が何を言っても、人が死んでるのにっていうのが先に立つ。もう死んでしまった人には、みんなが勝手に思い思いのストーリーを紡ぐ。事実以上に聖人だったとか極悪人だったとか。どんなに実像を歪められても、それを本人が訂正できない。  死んでしまったら何もかも、自分の思い通りにならないよ。偶像になって、みんなに弄ばれるだけだ。そういう奴らに怒ったり逆らったり出来るのは、生きてる人間だけだよ。  ねえ、君はあの地獄から救ってくれたんだよ。僕に人の形を与えてくれたんだよ。わかってんのか?  言えた。ようやく自分の身体の外に出せた。熱い液体がひたすら顔から湧き出し溢れ続ける。あまりに泣きすぎて、手足の末端が、喉が少し痺れてきている。 「大丈夫、大丈夫」  やわらかな手がゆっくりと岡井の額を撫で、手を握る。開かないまぶたに冷たいタオルが乗せられ、顔を拭われる。 「泣いていいから。もう大丈夫だからね」  手に力が入らなくて、強く握られた両手を握り返すことができない。  ゆっくりと身体が溶けていく。  まぶしすぎる光に、一度開けた目をまた閉じて、おそるおそるまた開く。部品をばらばらに分解して全部洗って組み立て直した。そんな気分。  寝室には岡井だけが取り残されていた。ふらつきながら台所に行くと、荘野はうどんを茹でている。 「昨晩は大変ご迷惑おかけしました……」 「もうああいう飲み方するなよ。放っておいて死なれたら困るから」 「どの口が言うんだか……」  軽口たたく元気があるじゃん、と荘野は少し笑って、 「俺が死んだら寂しいよ?」  なんて言う。  冷たいスポーツドリンクを口にすると、思っている以上に身体が強く吸い込んでいく。岡井がグラスを空にすると、まだ飲む? と荘野はもう一杯注いでくれた。 「泣くのも排泄だからね。体液を外に出すんだから、射精や排泄と一緒。気持ちいいでしょ」  二日酔いのだるさと頭痛以外は、なんだかすっきりしてしまったので。岡井には荘野の話が少し腑に落ちた。  だしうどんにレトルトの牛丼の素を入れて肉うどん風にして、たまごも落としてくれた。隣り合って黙って少し甘いうどんをすすり、ほとんど食べ終わったところで荘野が口を開いた。 「……なんかさ、あんまり色々勝手に判断しないで欲しいんだよね。勝手にっていうか、岡井と俺とは判断基準が違うし、俺には俺の考えがあるし……傷ついてるとか可哀想とか、そういうのは俺が決めるから。俺は別に、世間に認められるような正しい生き方をしたいとは、全然思ってないし。誰にも判断されたくないし、おまえにもしないよ」  荘野はどんぶりの底に残ったうどんを食べきって、すぐに立ち上がり後片付けを始める。昨日の荘野の優しさは、岡井を可哀想だと思ってのことではない。それくらいはわかる。岡井だってそう思われたくない。 「全部間違ってるんだろうけどさ。その時は生きるために選んだことを、自分でそう簡単には否定できないし、したくないし……」  荘野の声は、水道の音に掻き消されそうになる。どの一言も、どの呼吸もこぼさないように、耳をそばだてる。 「他人の言葉でわかったような気になりたくないんだよ。俺は、答えとかすぐに出さなくていいって思ってるから。自分でもまだよくわかってないことをさ、あれこれ言葉にするのは……。まだ自分の中で留めておきたいから」  岡井は食べ終わったどんぶりをシンクにおいて、水切りかごの中の食器を拭き出す。 「肯定されなくていいから、否定されたくないんだよ」  泡が水の渦に吸い込まれて消えていく。荘野を横目で見ると、なんでもない顔をしている。もうこれ以上なにが起きてもどうでもいいというような。子供の頃からの、いつもの表情。平坦に吐き出される言葉を、放り出される感情を受け止める。 「死にたい気持ちは、持ってていいと思うし、僕は受け入れるよ。でも本当に危ないと思った時は、たぶんなんかすると思う」 「……それでいいよ」  この部屋は正しい世界の外にある。ずっと正しさの枠からはみ出てしまうことに怯えて傷ついていた。でもここが、今の岡井にとって一番安心できる場所だ。ここを守っていくためには、どうすれば。  荘野は友達の撮影の手伝いがあるというので、岡井も一緒に外に出ようとすると。ドアノブに違和感がある。周りを伺いながら表へ出ると、ドアノブに紙袋がかかっていた。  ストーカーがとうとうここまで来た。ドッと心臓が強く波打ち、二人で顔を見合わせた。岡井が紙袋に手を伸ばし、おそるおそる中身を見ると。昨日写真で見たばかりのメイド服と地方の銘菓が入っていた。 「あいつもう一回留年して内定取り消しになればいいのに」 「なんなら不祥事起こして炎上しねえかな」  荘野は舌打ちしながら、吉岡に「二度と帰ってくるな」と送る。  二十四号棟の前で別れて、階段をゆっくり登りながら岡井は、「俺が死んだら寂しいよ?」と笑う荘野の顔を思い出していた。
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