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「ええっと……京極、もしかして今、オレらに喋りかけてる?」
目をぱちくりさせて尋ねている悠馬も、海斗と似たような考えを京極蓮に抱いていたのだろう。
京極蓮は、悠馬をスルーして、くるりと海斗に向き直り「あの有名な高瀬一が語る都市伝説とは興味深い。それで、君たちが通うダンススタジオの鏡は、何か特徴があるのかい? 材質が違うとか、他のスタジオに比べて大きい、あるいは小さいのような」と、質問してきた。
「え……特にないと思うけど。しいて言うなら古い、かな。うちのダンス教室は今年で30周年だし」
「なるほど」
「ちょいちょい京極君、今わざとオレを無視したっしょ。つか、京極ってよく見るとまつ毛長ぇ~」と、強引に悠馬が会話に割り込むも……
「で、君たちのダンススタジオは見学会をしているかい?」と、京極蓮はまたもやスルーして海斗に聞く。
「まあ。体験は予約が必要だけど、見学はいつでも自由だったはず」
「また無視かーい。なあなあ、そのベレー帽ってどこで売ってんの? つか、お前誰かに似てね? 誰だっけなー」
「それで林君、次の君のレッスン日はいつかい?」
「今日の放課後だけど」
「もはやオレいないことになってるし。放置プレイに目覚めるよ?」
「ちょうどいい。検証してみようじゃないか」
そんな調子で京極蓮はさっそく見学にやってきたのだった。
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