Side B - 加藤奏

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「お待たせしました。マリブパインです」 「あっ・・・ありがとうございます」  普段はそのままその場をあとにするはずの彼。しかし、その日は違った。 「大丈夫ですか?」 「えっ?」 「なんか元気がない気がしたので。気のせいだったらすみません」 「あっ・・・えっと・・・」  初めて彼に話しかけられた驚きと嬉しさと、さまざまな感情が織り混ざって何も言うことができなかった。  彼は私の言葉を待ってくれていたが、その幸せな時間も 「すみませ〜ん!」  と遠くの席から聞こえる女の声によって奪われた。  彼を私のものにしたい。
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