Side A - 疑念

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 清水が優に連れられてやって来たのは、ごく普通のマンションだった。  幹線道路から1本入った道に位置する、5階建ての鉄筋コンクリート造のマンション。  グレーがかった外壁はさほど汚れも目立たず、築数年といったところだろうか。  407号室。そこが優の家だった。 「散らかってるもの片付けるから、ちょっとここで待ってて」  優はそれだけ告げると、扉の中へと消えて行った。 (やっぱり何か隠してるのか?) (浮気・・・) (いや、優はそんなことしない。証拠もないのに疑うなんて・・・) (いや、でも・・・)  長い廊下はしんと静まり返っている。  静寂の中、清水は自問自答を繰り返していた。  5分ほど経った頃、静かに扉が開かれた。 「お待たせ。じゃあ・・・どうぞ」 「あっ・・・うん。おじゃまします」
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