物語る

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“歴史”を英語でhistoryという。 つまり、事実を誰かが見て、 それを“物語った”ものが“歴史” ということになる。 起こった“事実”はひとつでも、 “誰が”“どう見たか”で “歴史”は変わる。 “事実”と“真実”は違うし、 “真実”などないのかもしれない。 同じ“事実”でも、 見る人、方向によっては、 全く別物に見える。 人の心もまた、 他人には見ることも出来ないし、 自分自身でさえ、 本当の己の想いを誤魔化したり、 勘違いすることがある。 私(氷高皇女)の本心がどうだったのか、後の世の人は、 歴史書に数行書かれている文章と、 その当時起こった出来事から類推するしかないであろう。 ここに書かれている私(氷高皇女)は、 これを書いた人物が考えた ひとつの“物語”でしかない。 全くの虚像かもしれないし、 幾分かの真実が含まれているのかもしれない。 ただ、 歴史の転換点に “元正天皇という女帝がいた” ということだけは、間違いない。 おわり
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