94人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝は、貴広からメッセージを入れてみた。
(起きたか?)
良平は朝が弱いから、ちゃんと起きられたか心配だ。
(今起きたとこ)
一応起きてはいたみたいだ。
(遅刻すんなよ)
(ん)
(がんばれ)
(うん。がんばる)
力こぶを振り上げるスタンプが届いた。
工事は順調に進んでいる。
昨日古い機材が完全に運び出されて、カウンターの内側は空になった。
貴広は、職人さんたちが来る前に、空になったカウンターの中を掃除した。
祖父母が丹精したこの店を、彼らほど器用に使い続けられるかは分からないが。
できるだけのことをして、長くやっていこうと思う。
もう自分は、自分のことを隠して、誰かの意向のままに動く、息苦しい生活には戻らないから。
モップで貼りついた汚れを掻きおとし、貴広は「うーん」と腰を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!