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「紗月、久しぶり!」
湊海が笑顔で私に花束を渡してくれた。
湊海とは高校卒業後も時々会っていたけれど、私が女優の仕事を始めてからは忙しくて会うことができず、湊海とは4年ぶりの再会となっていた。
湊海も大学に進学していて、湊海と私は大学を卒業して2年が過ぎていた。
大学卒業後、湊海は商社に就職したと私は聞いていた。
「仕事、忙しい?」
私が湊海に質問すると、
「ううん、残業はそんなに多くないし、仕事にも慣れたよ!」
と教えてくれた。
湊海が、
「紗月は凄いね!
女優になる夢を果たしたんだね!」
と言葉をかけてくれたので、私が鞄から石を取り出して、
「湊海からもらったブラジルのこの石のおかげだよ!
湊海から言われたように、緊張した時にこの石を両手でしっかり握りしめて1分間目をつむると不思議と落ち着くんだよね!」
と湊海に伝えた。
すると湊海は驚いたような複雑な表情をして、
「ごめん紗月、その石私の実家の近くを流れる安倍川の河原で拾った、ただの石ころだよ!」
と話してくれた。
私は呆れて湊海を怒る気にもなれなかった。
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