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あー、そうだった。確かにサイクリンに新しい仲間が増えたんだっけ。っていうか、あのソウヤって子もサイクリン見てるんだ。ちょっと意外だ。
「あ、確かにそうだったな!」
「だろだろ? じゃあこの子はサイクシルバーでいいね?」
「うん! そうだね! じゃあ四人で悪を退治するぞ!」
「わぁーい! お兄さん、ありがとう!」
なんだなんだ、丸くおさまったぞ? また解決したのか、あの小劇団。
まあ、まだ低学年の子たちだし、お兄さんたちから言われたら言うこと聞いてくれるか……。
低学年の集団は、サイクリンの掛け声である『チャリンチャリン』を叫びながら、みんな学校の中に入っていった。
「ハイ、カット! 優しいお兄ちゃん役、クリアだな!」
「上出来よ! ソウヤの演技は自然でいいなぁ」
「みことも悪くなかったぞ! まあセリフが少なかったからな」
今のは……演技っていうのか? ただの人助けだと思うけど。
まあ、二人が演技って言うなら演技なのか……って、何を真剣に見ているんだ。
僕は今一人で、自分の将来について真剣に考えようとしていたのに、目の前で起きたいざこざに目を奪われてしまっていた。
あの二人に気づかれたら、また変な誘いを受けることになる。静かにここから消え去らないと……。
「ストップー! 逃げちゃダメだぜ?」
え? まさか……。
「そこにいるのはわかってるんだぞ! 主人公君?」
あちゃー、やっぱバレてたか。まあ、今回は角の日陰に居ただけだから、気づかれてもおかしくないと思ってたけど。
いやでも、主人公って……まだやると言っていないのに。この感じだと、逃げられそうにないじゃないか。
何とか、今気づいたようにリアクションしないと。
「や、やぁ! また会ったね! えーと、ボ、ル……」
「学内小劇団『ボルド』だよ。まさかカワジンも比奈北小だったなんて。何年生?」
「六年生。一緒だよ」
「そ、そうなの? こりゃ失敬! そうか、ウチの学年もいっぱいいるからわからなかったなぁ。いや、でもこれで手っ取り早くなった! なあみこと?」
「そうね。他校からの入団は難易度が高いから。ラッキーじゃない」
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